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TCシンポジウム2009 プログラム詳細

特別セッション(東京)

タイトル

特01 PL責任回避のための警告表示設計方法の基本
~家電製品の警告表示事例を理解して、警告表示をマスターしよう~
特02 マニュアルの価値を高めるペルソナ・シナリオ利用
~ペルソナ・シナリオでマニュアル読者の「よかった!」を引き出そう~
特03 情報デザインの基礎-コミュニケーションの全体像
~テクニカルコミュニケーターが押さえるべき、情報設計の基本とプロセス~
特04 文章表現の基本をマスターする
特05 「取扱情報のユニバーサルデザインとは?」
~快適コミュニケーションの実現に向けて~
特06 英文テクニカルライティング
~こう書けば、わかりやすく、誤解されない英文になる!~
特07 新しいテクニカルライティング
~XMLに適したライティング&コンテキストを活かすライティング~
特08 翻訳品質の定量評価
~誤差を減らす方法と、評価結果の利用について~

詳細

特01 PL責任回避のための警告表示設計方法の基本
~家電製品の警告表示事例を理解して、警告表示をマスターしよう~
内容

日本国内では1995年に製造物責任法(PL法)が施行されて14年が経過した。PL法とは製品に「欠陥」があることを立証すれば、製造物自体から拡大した損害についての賠償が受けられ、被害者の保護を図る目的で制定された法律である。設計上の欠陥や製造上の欠陥は、専門知識がないと立証が困難であるが、指示・警告は消費者に向けられたもので、消費者が欠陥の判断をするのが容易で、クレームや訴訟に結びつきやすい。日本のPL訴訟は2006年に累計で100件を超えた。

日本の警告表示方法は、(財)家電製品協会発行の「家電製品の安全確保のための表示に関するガイドライン」第1版(1993年12月)が基本となっている。このガイドラインを基に各工業会が表示要領を策定し、ガイドラインの改訂に合わせて第3版まで変更されてきている。また、このガイドラインは1994年に当時の通商産業省の表示・取扱説明書適正化委員会が10月に公表した「消費生活用品の取扱説明書のあり方」や1995年2月に公表した「消費生活用品の警告表示のあり方」にも影響を及ぼしている。2000年にはこのガイドラインを参照してJISS0101(消費者用警告図記号)も制定された。

このセッションでは、日本のPL法と各種表示媒体物(取扱説明書、製品本体、包装箱、カタログ)との関係、警告表示方法など取扱情報の制作担当者が基礎知識として知っておくべきPL関連事項を解説する。テキストは2009年3月に大幅に改訂された(財)家電製品協会の「家電製品の安全確保のための表示に関するガイドライン(第4版)」を使用する。

さらに、昨年のTCシンポジウム2008のパネルディスカッションのテーマ「特別企画 これからの安全表記のありかたを考える」で、欧州(EU)TC代表からの情報や海外市場委員会(従来の中国市場小委員会)で収集した中国市場での安全表示のありかたなどの情報をもとに、現在の安全表示内容と今後の安全表示方法を「日本・EU・中国・米国」で比較しながら解説する。

セッションのポイント ・(財)家電製品協会の「家電製品の安全確保のための表示に関するガイドライン(第4版)」(2009年3月発行)
・家電製品の警告表示事例紹介(取扱説明書、製品本体、包装箱、カタログ)
・米国、EU、中国、日本における安全表示の相違点
形式 講義、事例紹介
対象者 ディレクター
テクニカルライター
メーカーや制作会社の取扱情報の管理者
講師 山崎敏正 パナソニック(株)
定員 東京50名

特02 マニュアルの価値を高めるペルソナ・シナリオ利用
~ペルソナ・シナリオでマニュアル読者の「よかった!」を引き出そう~
内容

テクニカルコミュニケーターのスキルの一つに「情報デザイン力」がある。「情報を探しやすくする」「理解しやすい適切な表現にする」ためには、想定読者を具体的にすることが必要となる。では、マニュアル・ドキュメントの制作現場において、どのようにして想定読者を具体化すればよいのだろうか。

この特別セッションでは、利用者モデルを具体化する手法としてペルソナ・シナリオ法を紹介する。そして、ペルソナ・シナリオ法を利用するときのポイントをマニュアルの作成事例を交えて説明する。
(1)対象ユーザーに対するペルソナを作成する。
(2)作成したペルソナが、製品に対して期待していること(目標)を挙げる。
(3)その目標に向かう物語(シナリオ)を作る。
(4)「タスクベースのシナリオ」(シナリオを具体的に製品の機能で実現する手段)でマニュアルを作成する。

今年のTCシンポジウムでは、マニュアル・ドキュメントの企画設計フェーズとライティングで役にたつペルソナ・シナリオ法を学ぶ企画にした。ペルソナ・シナリオ法を利用したマニュアル制作事例をもとに、利用者起点のマニュアル設計とライティングのポイントについて解説する。昨年TCシンポジウムで好評をいただいた「ペルソナ・シナリオを用いた製品開発」の改訂版。

形式 講義、事例紹介
対象者 テクニカルライター
ディレクター
ユーザビリティーに興味のある人
講師 郷健太郎 山梨大学大学院
定員 東京50名

特03 情報デザインの基礎-コミュニケーションの全体像
~テクニカルコミュニケーターが押さえるべき、情報設計の基本とプロセス~
内容

本セッションは2008年に開催された「『全体の絵を描く』ための情報デザイン?コミュニケーションの全体像を設計する?」と基本的に同内容である。
講義形式を中心としつつ、受講者が適宜参加できるような形態でセッションを進める予定である。

製品やサービスにおいて「ユーザー体験」という価値が重視され始めるにつれて、マニュアル制作にもこれまで以上の品質向上が求められるようになってきた。その1つが、操作情報や取扱情報のクロスメディア展開である。操作情報の製品側への組み込み、Webサイトをはじめとする各種電子メディアへの展開など、操作情報や取扱情報を
クロスメディアで展開することが一般化しつつある。しかし情報の形態や内容がメディアに最適化されているとは必ずしも言えず、メディア間の連携もほとんど意識されていないのが実情である。この問題の原因の大部分は、情報の受け手(ユーザー)と出し手(メーカー)との間のコミュニケーションの全体像をどう設計するのか、という観点が欠如していることにあると考えられる。

全体像を正しく設計するには、情報の提供目的を明確化することや、ユーザーの利用状況を正しく把握するなど、情報設計のプロセスを意識して準備を行うことが何よりも重要である。しかしテクニカルコミュニケーションの領域においては、特に情報設計の面で企画構成プロセスにおいて実行すべきことが明確化されていないのが現状である。情報設計という視点自体もテキストや画像などの最終的な表現技法よりも伝統的に軽視されており、教育・研修も充実しているとは言い難い。

このセッションでは、WebデザインやUI設計など隣接業界で重視されつつある「ユーザー体験」や「ユーザー中心のデザイン」という考え方を押さえた上で、テクニカルコミュニケーションが主に扱う取扱情報や操作情報を例にして、情報設計の基本的なプロセスと、全体像の設計のために特に重要である「コンテクスト」や「情報の枠組」といった要素を学ぶことを目的とする。題材として取扱情報や操作情報を中心に、製品やサービスにおける情報提供の全体像を考察することで、コミュニケーションの全体像を設計するために必要な観点を共有し、現状問題に対する自分なりの解答を形作るための機会としたい。

セッションのポイント ・ユーザー中心のデザイン
・クロスメディア展開の現状
・標準的な企画構成プロセスの再確認(説明対象の把握→目的の明確化→ユーザーの明確化→情報の用意→構成案の
作成)
・コンテクスト把握とメディア展開
・「全体の絵を描く」のは誰?
形式 講義
対象者 マニュアル制作初級者(問題の全体像把握のために)
マニュアル制作中級者(自分の知識を整理・見直すための機会として)
講師 高山和也 (有)文書情報設計
定員 東京50名、京都30名

特04 文章表現の基本をマスターする
内容

本セッションは2008年に開催されたTCシンポジウム特別セッション「文章表現の基本をマスターする」と本年のTC協会育成講習会「文章表現」と内容が重なります。

文章の使命は、「読み手にとって必要な情報を、正確に伝えること」である。その使命を果たすためには、誤解されようのない文章、すなわち誰が読んでも同じ意味にとらえられなければならない。また、一度読んだだけで情報がすんなりと頭の中に入るような、読みやすく、わかりやすい文章でなければならない。そのような文章を書くには、具体的にどのようなことに気をつければよいのだろうか?

このセッションでは、「誤解されようのない文章」「一読して理解できる文章」を書けるようになることを目指す。そのために、以下の3点を取り上げる。

1つ目はパラグラフの組み立て方である。パラグラフとは、1つのテーマについて記述した文のかたまりのことを指す。パラグラフには、列挙や例示、定義などのパターンがある。このセッションでは、さまざまな例文を使って、パラグラフの基本的なパターンを学ぶ。

2つ目は文の組み立て方である。たとえば、「[OK]ボタンをクリックすると、プリンターのアイコンに他のパソコンとネットワーク上で共有設定されていることを意味するマークが表示されます。」という文には、複数のことが盛り込まれている。そのために、構造が複雑になり、わかりにくくなっている。主語、述語、修飾語、文節に注意しながら、このような文をシンプルでわかりやすい文に修正する。

3つ目は用語・表現である。技術者やテクニカルライターにとっては当たり前の用語や表現でも、一般のユーザーにはわかりにくかったり、違和感があったりすることが多い。技術者やテクニカルライターが使いがちな用語や表現をチェックし、適切な用語・表現に修正する。

このセッションは、練習問題を中心に進める。実際にその場で文章を書き、参加者による小グループで内容を検討する。このような参加者によるグループ検討を「ピア・レスポンス」という。「例文のどこが問題なのか?」「どうして、このように修正するとわかりやすいのか?」をメンバーと話し合うことにより、文章表現についての理解を一層深めることができる。

セッションのポイント ・「誤解されようのない文章」の書き方を学ぶ
・「一読して理解できる文章」の書き方を学ぶ
・「なぜ、そのように書くのか?」を追求する
・理論に基づいた解決策を知る
形式 講義、ワークショップ
対象者 テクニカルライター初心者
ライティングの基本をマスターしたいすべての人
講師 冨永敦子 フリーランステクニカルライター/文教大学講師/鹿児島大学講師
定員 東京50名

特05 「取扱情報のユニバーサルデザインとは?」
~快適コミュニケーションの実現に向けて~
内容

ますます複雑化する情報社会において、取扱情報は「わかりやすさ」を求められている。ところが、情報提供側である制作者側と受け手側であるユーザーとのギャップが、どれだけあるのか分からないのが現状である。取扱情報は、人とモノ(有形・無形にかかわらず)の快適コミュニケーションをするための重要な部分、それを支えるのはユニバーサルデザインの概念。この概念が、ギャップを埋めていくヒントとなる。

この講座では、ユニバーサルデザインの概念や基礎を、事例を交えながら学んでいただき、取扱情報と使い手のギャップを、少しでも埋めていくことである。
◎ユニバーサルデザインの概念で考慮することは3点
1)ユーザーの声を聞くこと
2)ユーザーが選べる取扱情報であること
3)取扱情報に、より効果が上がること
◎講義では、
・ユニバーサルデザインの基礎
・ユニバーサルデザイン設計方法やユーザー調査
・文字、図記号、レイアウトなど配慮ポイント
◎事例では、
・印刷物とユニバーサルデザイン
・Webとユニバーサルデザイン
・ユーザー別(年齢別、障害別など)の配慮事例
などを中心に解説予定。

2001年にISO/IECガイド71(規格作成における高齢者・障害者のニーズへの配慮ガイドライン)が制定されたことにより、より多くの人が使いやすいモノづくりが、今後さらに必要となる。快適コミュニケーションを担う、テクニカルコミュニケーターが、ユニバーサルデザインの概念をもち、より多くの顧客の「買ってよかった」「使ってよかった」、作り手の「作ってよかった」につながることを期待したい。

セッションのポイント ・ユニバーサルデザインの概念や事例を学ぶ
・制作者側とユーザー側とのギャップを埋める
・高齢者配慮は多くの「よかった!」につながる
形式 講義、事例紹介
対象者 マニュアル制作ディレクター
テクニカルライター
デザイナー
その他取扱情報制作者関連など
講師 渡辺慶子 (株)ブライト
定員 東京50名

特06 英文テクニカルライティング
~こう書けば、わかりやすく、誤解されない英文になる!~
内容

「初級英文ライティング」では、日本人が間違えやすい問題点を体系的に網羅し、マニュアル制作のための英文ライティングの基礎を理解した。このセッションは一歩進んで、どう書けば、相手に正しくスムーズに伝わるかを検討する。相手に正しくスムーズに伝えるにはどうしたらよいかということを考える場合、最初に思いつくのがテクニカルライティングである。テクニカルライティングといえば、論理的でわかりやすい英文ドキュメントを書くための手法として、幅広く知られている。しかし、日本では、なかなか英文テクニカルライティングを学べる機会が少ないのが実情である。このセッションでは、演習形式でテクニカルライティングの基礎を身につけていく。

わかりやすく書くために心がけること、注意することなどテクニカルライティングに必要な要素を、例題を使って、体系的に説明していく。具体的な事例を取りあげて、それを1つひとつ検討することによって、日常業務にもすぐに反映できるものにする。

また、さらに進んで、英文をどう書けば多言語展開時に翻訳者が誤訳しないかなど、ローカリゼーションまでも考慮したライティングを追究する。グローバルオーディエンスを対象とした場合、だれにでもわかりやすく、そして、翻訳者に誤訳されない英文を考える必要がある。そのためのキーになるのが、シンタクティックキュー(構文上の手がかり)である。

セッションのポイント セッションのポイント:
・文の構成
・トピックセンテンスとサポート
・キーワードとパラレリズム
・パラグラフライティングのルール
-遷移語を効果的に利用する
-冗長さを除く
-一貫性を保つ
-多義性を除く
-曖昧さを除く
・グローバルイングリッシュ
-シンタクティックキュー(構文上の手がかり)を活用する
形式 講義、ワークショップ
対象者 英文でのテクニカルライティング力を身につけたいひと
英文マニュアル制作やチェックを担当しているひと
ローカリゼーションを担当しているひと
講師 中村哲三 YAMAGATAINTECH(株)
定員 東京50名

特07 新しいテクニカルライティング
~XMLに適したライティング&コンテキストを活かすライティング~
内容

テクニカルライティング技術は、伝える内容、伝達媒体、伝達の技法のすべてにおいて、近年、大きく変化している。論理的であることや正確であることを重視する従来のテクニカルライティング技法だけでは、この変化に対応しきれなくなってきた。このセッションでは、TC協会の考える最新の定義を基に、ユーザーに適切に情報を伝えるためのテクニカルライティング技術について解説する。

はじめに、テクニカルライティング技術の特徴と適用分野、テクニカルライターの役割について再定義を行う。また、文章表現の基本的な指針をまとめた「日本語スタイルガイド」(TC協会より2009年7月末発行予定)の活用法や、推敲作業の進め方について解説する。

最近の数年間に、XMLベースの制作ツールが次々に登場しているが、これらのツールの利点を活かすために、「部品」としてのテキストを効率的に作成し、品質を維持するための留意点やライティング技法を紹介する。

さらに、情報の送り手と受け手の間に適切なコミュニケーションを成立させるために不可欠な、コンテクスト(文脈)の組み立てに配慮したライティング技術について、その要点を解説する。また、読み手にストレスを与えない、ストーリーや流れの作り方についても紹介する。

セッションのポイント ・TC技術検定におけるテクニカルライティング技術の基本的な定義を解説
・XMLベースの制作ツールを活かすための効果的なトピックライティングの技法を紹介
・取扱情報におけるコンテキストの意義とライティングに与える影響を解説
形式 講義、ワークショップ
対象者 テクニカルライター
ディレクター
人材育成担当者
講師 雨宮拓 TC協会
定員 東京50名、京都30名

特08 翻訳品質の定量評価~誤差を減らす方法と、評価結果の利用について~
内容

技技術翻訳の品質を測るものさしとして、まずは「正確な翻訳である度合い」を考えてみる。そのために、なるべく誤差が少なく、かつ簡便な方法で、翻訳の正確性を定量的に表したい。翻訳品質を数値で表したいという願いは、品質を管理し、向上させていきたいと思う人に共通のものである。しかし、立場も違う数多くの人が納得する指標を示すことにも、それを実際に測定することにも、困難な課題がいくつも含まれている。

本講義では、現実的な手間で実用的な精度の評価を行う方法について提案し、品質の定量評価を取り入れた品質プロセスを実施している事例について紹介する。
(1)「品質」の定義
◎「誤り」密度とは
◎「誤り」の分類と重み付け
(2)品質評価の誤差
◎「誤り」分類のあいまいさ
◎数え方で迷うとき
◎評価者による違い
◎評価対象の選び方
◎評価対象の分量による違い
◎品質の季節変動!?
(3)品質評価作業の機械化
◎誤訳チェッカー
◎ツールによる評価と人による評価の相関
◎効率の比較
◎精度の比較
◎ツールによる評価の欠点
(4)品質管理プロセスの事例
◎評価者の選定と育成
◎評価結果から見えてくるもの
◎評価プロセスから生まれるもの

セッションのポイント ・「誤り」量を定義する
・評価誤差の原因と対策
・品質管理プロセスにおける評価の利用
形式 講義、事例紹介
対象者 ディレクター
テクニカルライター
講師 脇田早紀子 日本アイ・ビー・エム(株)
定員 東京50名