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TCシンポジウム2008 プログラム詳細

パネルディスカッション(京都)

タイトル

パ02 制作ツールと制作スキルの関係を整理する
~InDesignの普及本格化を迎えた今、改めて制作現場視点で考える~
パ05 業務マニュアルの現状と提言
パ06 UIに求められるTC技術とは
~組み込み型製品取扱情報について~
パ07 特別企画 これからの安全表記のありかたを考える
~欧州TC代表との公開パネルディスカッション その2~
パ08 これからの日本発英文マニュアル
~世界で通用するものにするために~

詳細

パ02 制作ツールと制作スキルの関係を整理する
~InDesignの普及本格化を迎えた今、改めて制作現場視点で考える~
内容

TCシンポジウムが初めて開催されてから現在まで、マニュアルの制作環境は大きく変化してきた。電算写植による版下制作から Macintoshを中心としたDTPに移行した「紙メディアの制作環境が変化した時代」。Windowsを中心としたDTPの時代を経てデータベースを利用した自動組版の活用など「制作ワークフローが変化した時代」。さらにPDFや電子マニュアル、Webコンテンツへと拡散する「提供メディアが変化した時代」。提供メディアが変化し続ける中でも、紙、Web、電子マニュアル用のデータリソースを共有する「シングルソースへのニーズが高い」ことは製品取扱情報分野の特徴である。
そして、それぞれの時代に合わせて制作ツールは進化してきた。これは単なる制作ツールの変化だけでなく、制作ワークフローの変化、さらにツールを使いこなすのに必要な制作者のスキルにまで影響を与えている。このセッションでは、はじめに、各変化の時代の象徴となった制作ツールの特性とその用途を体系的に整理して、私たちがワークフローや提供メディアの変更を検討する際に、制作ツールを正しく使い分ける基準を示すことを試みる。
次に、それぞれの制作ツールを活用するために、私たちが習得しなければならないスキルの変化と違いを明確にしたい。

このパネルディスカッションでは、コーディネーターとパネリストの問答を中心に展開する。制作現場で話題となっている課題のディスカッションを通じて、前述した「使い分けの基準」「要求されるスキルの変化と違い」を浮き彫りにする。

■セッションのポイント

  • 電算写植からDTPへ何が変わったのか
  • QuarkXPressとPageMakerはどこが違ったのか
  • MacintoshからWindowsOSの移行で何が変わったのか
  • FrameMakerの登場は、ワークフローにどんな影響を与えたのか
  • InDesignの登場と提供メディアの拡散はどう関係するのか
  • Unicode対応とは、何のために必要なのか
  • FrameMakerのユニコード対応をどう受けとめるべきか
  • InDesignは、DTPオペレーターが使う? ライターが使う
  • XMLエディターの使い方は? テキストエディターとの違いは何か
  • 相互参照とツールの関係は
  • 多言語展開関連ツール(機械翻訳や翻訳メモリー)の位置づけは
  • 旧世代のツールからのデータ移行の上手な進め方は
  • データの部品化を進めるワークフローと制作ツールの相性はあるのか
キーワード ツール、スキル
コーディネーター 石川 喬之 (株)テックコミュニケーションズ
パネリスト

黒田 聡(株) 情報システムエンジニアリング
吉川 勝 パナソニックコミュニケーションズ(株)
松川 博彦 (株)創英

企画担当者

岡本 浩 (有)ユーザーフレンドリー
都築 行博 岡村印刷工業(株)
西村 進 (株)パセイジ
山崎 久美子 (有)デジタル・ワークス

対象者

制作担当者(ライター、オペレーター)
メーカー責任者/発注担当者


パ05 業務マニュアルの現状と提言
内容

現状、業務の現場で活用できるマニュアルが存在していない場合が多い。管理者は、必要最低限の情報で十分という認識があり、業務の前後、他部門との関係、注意事項、ノウハウの記述が不足しているからだ。
今までは、不足する情報は人が補いベテランがカバーすることで、ことなきを得てきた。ところが効率化・合理化により、業務の現場は一人の業務が増えて、流動的なスタッフ(パート、アルバイト)を活用せざるを得ない状況に変化してきた。一定品質の業務が誰でも短期間でできるようにするため現場で活用できるマニュアルが必要になってきている。現場のマニュアルは、テクニカルコミュニケーション技術活用で、大幅に改善できると考えられる。
本パネルディスカッションの狙いは、マネージメント層には、現状を把握し課題意識をもってもらい、その課題の背景や原因理由も把握してもらうことを目的としている。現場には、検討する前にあきらめていることを、協力者を得ることで実現できるということに気づいてもらいたい。また、現状、 SE、運用担当者、現場が一緒に検討していない、やろうとしていないことに問題があることに気づいてもらいたい。そして関係者間の橋渡しを、テクニカルコミュニケーターが担って、それぞれの立場の課題解決を促進させることができるか議論したいと思う。

■セッションのポイント

  • 業務マニュアルの位置づけを明確にする
    • 業務指向⇔操作指向
    • システム系⇔非システム系
  • 業務マニュアル制作の現状と課題のギャップを考察する
    • TC側の認識
    • 業務側の認識
  • 業務マニュアル制作におけるTC側の課題を考察する
    • 業務現場から見たTC技術の使える点、使えない点
    • TCの強みを訴求・活用できるポイント
    • TC業界と実務家の連携に必要な方策
キーワード 業務マニュアル、システム操作マニュアル
コーディネーター 高山 和也 (有)文書情報設計
パネリスト

草刈 修 (株)日立テクニカルコミュニケーションズ
橋爪 佐代子 (株)富士通ラーニングメディア
藤本 太郎 (株)富士通研究所
三信 武彦 (株)ドトールコーヒー

企画担当者

今村 貴志 (株)富士通ラーニングメディア
下拂 伸一 アベイズム(株)
吉川 明 (株)日立テクニカルコミュニケーションズ

対象者

コーディネーター(ディレクターの立場で業務にあたる方)
SE(コンサルタント含む)
管理部門担当者
業務教育担当者


パ06 UIに求められるTC技術とは
~組み込み型製品取扱情報について~
内容

2006年度のシンポジウムには、UIがテーマのパネルディスカッションが登場した。「UIの進化によってマニュアルはなくなるのではないか」という問いに対して、むしろマニュアル制作技術の重要性とテクニカルコミュニケーターの役割が再認識されることになった。
2007年度のシンポジウムには、組み込みマニュアルの展示企画が登場した。また、パネルディスカッションでは、組み込みマニュアルのビジュアル表現や組み込みマニュアルを制作する上での制作現場の変化が話題として取り上げられた。組み込みマニュアルの制作に関わったパネリストからは、「紙/電子を含め、取扱説明書だけでは限界。GUI改善によって商品本体のわかりやすさを改善していく必要がある。また、GUIの表現方法については、設計部門と十分に議論し効果的な表現方法を模索していく必要がある。」との発言もあった。
操作支援の情報は、可能な限り製品と一体化した形で提供されるようになってきている。製品と一体化した情報作りとは、製品の設計・開発により近いところで作業が求められるということである。結果として、多機能化に伴い増加する情報前倒しになる作業の処理に追われてしまうのが、組み込みマニュアルの制作現場である。
しかし、本来求められているものは、ユーザーがとまどいなく操作が可能な UIであり、またそれを促す情報提供である。
このパネルディスカッションでは、表示領域が限られ電子マニュアルを単体で表示することが難しいカーナビや複合機を中心に、UIや情報提供の改善の取り組みに対して、TC技術の活かしどころはどこかを探る。
カーナビや複合機では制限された画面の中で、多くの機能、多くの説明提供を要求されてきて、TC技術者が今まで培ってきた表現技術を活用できる状況にあると思われる。よりよい製品の提供のためには、UI開発者と TC技術者がコラボレーションし、UIを作り上げていく必要がある。しかし現状ではTC技術を活かす環境が十分あるとはいえない。TC技術者が積極的に UI開発者とコラボレーションがとれるような環境を構築していくために、UI設計・開発ではどのような技術が求められているのかを探り、TC技術者がUI開発者とコラボレーションできる手がかりを掴みたい。

■セッションのポイント

  • 多機能化の実態
  • 画面に表示される情報の種類とタイミング
  • 情報のグルーピングと階層の深さについて
  • 紙のマニュアルと組み込まれたマニュアルの内容の棲み分け
  • デザイン上の留意点(あるいは何処まで文字で説明すべきか)
  • 必要なTCの技術って何だ ?
キーワード 組み込み、UI、GUI
コーディネーター 清水 義孝 (株)クレステック
パネリスト 内山 恵一 クラリオン(株)
馬越 正哲 (株)NECデザイン
関 寛夫 富士ゼロックス(株)
企画担当者

新井 將未知 日本ビクター(株)
清水 義孝 (株)クレステック
園田 治 (株)情報システムエンジニアリング

対象者

テクニカルライター
デザイナー
ディレクター
UI設計者
マニュアル企画者


パ07 特別企画 これからの安全表記のありかたを考える
~欧州TC代表との公開パネルディスカッション その2~
内容

最近の日本市場では事故情報、回収社告などが多発、毎週のように経済産業省のホームページに掲載されている。欧州でも同様で、RAPEXシステムとよばれる仕組みによって欧州委員会から事故情報の提供が欧州全域に対して行われている。メーカーは、どのようにしたらユーザーに安心して製品を使っていただけるのか、万一事故が起こったらどのような対応をお願いするかに苦慮している。予兆に関する情報提供などによる事故の未然防止、誤使用回避のための情報提供の強化は、これからの製品取扱情報を考えるに際して、大きなテーマのひとつだ。
アジア諸国においては自国の法規制の手本を欧州規格に求めることが多いため、欧州だけでなく広くアジア圏を対象とした安全表記に関する今後の動向の参考にもなる。そこで、今年は欧州 TC関係者(京都では代理)を招へいし、日本側の関係者と、安全表記のこれからについて公開パネルディスカッションを開催する。
欧州では特に職場労働安全衛生指令によって安全確保の要求が強く要求されている。日本でも厚生労働省が指導を強化し始めており、日本メーカーも対応を迫られるテーマである。このテーマもあわせて話題とする。パネルディスカッションでは次のような話題を扱う予定である。

■セッションのポイント

  • 欧州と日本、欧州内で、地域による安全表記の違い
  • 製品分野による安全表記の違い(消費品=家電と業務用製品)
  • 包装、本体表記(ラベル)と取扱説明の連携
  • 製品ライフサイクルに応じた安全表記のあり方
  • 電池関係、誤飲防止、窒息防止、環境関連

なお、米国は欧州との考え方の違いがとても大きい。論点を絞るためこのセッションでは米国関係の話題は扱わないものとする。

■参考
このセッションを聴講するに際して前提となる下記基礎的情報は、特別セッション 01で扱う。必要に応じてご活用いただきたい。

  • 関係する国際法と関連団体、その基本的な役割や機能
  • 関係する国際規格の概要
  • 取扱説明への安全表記の方法の基本(リスク分析など)
キーワード 安全表記、海外~欧州
コーディネーター

石井 満 (株)シーエフメディアジャパン【東京のみ】
黒田 聡 (株)情報システムエンジニアリング【京都のみ】

パネリスト

山崎 敏正 松下電器産業(株)(財)家電製品協会安全表示 WG主査
辻岡 啓司 (株)島津製作所
Mrs. Magali Baumgartner or Mr. Kai Bohn tekom【東京のみ】
Mr. Thomas Bilz VDE【東京のみ】
石井 満 (株)シーエフメディアジャパン【京都のみ】(tekomとVDEの代理発表)
通訳あり

企画担当者

石井 満 (株)シーエフメディアジャパン
黒田 聡 (株)情報システムエンジニアリング

対象者

ディレクター
テクニカルライター
マニュアル部門の管理者
品質保証担当者
法規制対応担当者


パ08 これからの日本発英文マニュアル
~世界で通用するものにするために~
内容

グローバリゼーションを目指す日本メーカーにとって、世界市場同時発売(Sim Ship)は大きなテーマであり目標である。ところが、Sim Shipのボトルネックともなる多言語マニュアルについては、必ずしも評判がいいわけではない。その原因を探ってみると、往々にして、ローカライズのマスターとなる英文マニュアルの問題にたどりつくことがある。日本発の英文マニュアルには概してどのような問題があるのだろうか。
日本発の英文マニュアルの基本的な問題点としてよく言われるのは、そのベースとなる日本語の特殊性や日本語的な思考 /発想法である。 この問題を解決するためには、ライティング段階でのいわゆる一般化(Internationalization: I18n)が必要となる。英語版で I18nを適切に行うことで、次工程であるローカライズ作業が効率的、効果的になるばかりでなく、マスターとなる英語版の「わかりやすさ」が実現できる。
ここで、日本発の英文マニュアルで I18nを適切に行うために「その考え方とライター」について検討してみたい。

●英文マニュアルの考え方
今日、英語はアメリカやイギリスという国家の枠を超え、世界共通語(Lingua Franca)として世界中で幅広く使用されている。その中で、ローカライズのことも併せて考えると、米語でもなく英語でもない正しく一般化された新たな英文マニュアルを検討する必要がある。つまり、日本発で世界共通語としての英語を追求し完成させていくのだ。

●英文マニュアルのライター
翻訳の世界では、作業は母語(mother tongue)への一方通行で行われるのが普通である。つまり、E>J(英語から日本語への翻訳)は日本語ネイティブ(NJS)が、J>E(日本語から英語への翻訳)は英語ネイティブ(NES)が担当する。しかし、日本の英文マニュアル制作の現場では、NJSの英文ライターをよく目にする。ここが翻訳の世界とは大きく異なる。お互いに似たような分野であるにもかかわらず、なぜこのような違いが生じたのか。NJSが英文マニュアルを書く場合、どのようなことに注意すべきか。また、NJSが英文を書くとどのようなメリットやデメリットがあるのだろうか。

■セッションのポイント

  • 日本発英文マニュアルの問題点
  • なぜ NJSが英文を書くのか
  • NJSが英文マニュアルを書くメリットとデメリット
  • 英文を書くときに注意すべき点  I18n(一般化)
  • 英文マニュアルを書くために必要なスキル  NES/NJS共通
  • 英文マニュアルを評価する 評価方法、手段
  • 日本発英文マニュアルの方向性
キーワード インターナショナリゼーション(一般化)、英文ライティング
コーディネーター 中村 哲三 YAMAGATA INTECH(株)
パネリスト

池田 麗子 (株)日立製作所
マシュー・フォレスト ソニー(株)
松本 悦子 (株)プロダクトブレーン

企画担当者

小川 正純 (株)日立製作所
北澤 有紀 セザックス(株)
中村 哲三 YAMAGATA INTECH(株)

対象者

NJS/(NES)英文ライター
エディター
制作会社責任者/制作担当者
メーカー責任者/発注担当者