本セッションは2008年に開催された「『全体の絵を描く』ための情報デザイン?コミュニケーションの全体像を設計する?」と基本的に同内容である。
講義形式を中心としつつ、受講者が適宜参加できるような形態でセッションを進める予定である。
製品やサービスにおいて「ユーザー体験」という価値が重視され始めるにつれて、マニュアル制作にもこれまで以上の品質向上が求められるようになってきた。その1つが、操作情報や取扱情報のクロスメディア展開である。操作情報の製品側への組み込み、Webサイトをはじめとする各種電子メディアへの展開など、操作情報や取扱情報を
クロスメディアで展開することが一般化しつつある。しかし情報の形態や内容がメディアに最適化されているとは必ずしも言えず、メディア間の連携もほとんど意識されていないのが実情である。この問題の原因の大部分は、情報の受け手(ユーザー)と出し手(メーカー)との間のコミュニケーションの全体像をどう設計するのか、という観点が欠如していることにあると考えられる。
全体像を正しく設計するには、情報の提供目的を明確化することや、ユーザーの利用状況を正しく把握するなど、情報設計のプロセスを意識して準備を行うことが何よりも重要である。しかしテクニカルコミュニケーションの領域においては、特に情報設計の面で企画構成プロセスにおいて実行すべきことが明確化されていないのが現状である。情報設計という視点自体もテキストや画像などの最終的な表現技法よりも伝統的に軽視されており、教育・研修も充実しているとは言い難い。
このセッションでは、WebデザインやUI設計など隣接業界で重視されつつある「ユーザー体験」や「ユーザー中心のデザイン」という考え方を押さえた上で、テクニカルコミュニケーションが主に扱う取扱情報や操作情報を例にして、情報設計の基本的なプロセスと、全体像の設計のために特に重要である「コンテクスト」や「情報の枠組」といった要素を学ぶことを目的とする。題材として取扱情報や操作情報を中心に、製品やサービスにおける情報提供の全体像を考察することで、コミュニケーションの全体像を設計するために必要な観点を共有し、現状問題に対する自分なりの解答を形作るための機会としたい。
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