■新しいデータ出稿フォーマットとしての期待を受けたPDF
従来のネイティブデータによる出稿では、リンク切れ、フォントの置き換わりによる文字化け、OPI(Open Prepress Interface)の不具合など、出力に関するトラブルが日常的に起こっていた。当然、印刷日程はこれらのトラブルを想定したスケジューリングとなり、出稿から下版までの日数を稼ぐために出稿前夜は徹夜で乗り切るという会社も多かったようだ。
このような背景でベンダー各社が出力トラブルの無い出稿フォーマットを求めるなかで、PDFが脚光を浴びるようになった。
■ISOで規格化されたPDF/X-1aの登場
汎用データフォーマットであるPDFは様々な用途向けに作られる。その生成には様々な設定オプションがあり、「PDFに変換すれば出力トラブルが無くなる」というわけにはいかず、PDFを印刷出力に最適化するための規準が求められた。そこでISOで規格化されたのがPDF/Xであった。中でも、日本の印刷市場習慣に適した「PDF/X-1a」は日本国内でのデータ出稿フォーマットの標準として印刷関連業界団体で認知され、RIPメーカーは続々と「PDF/X-1a」への対応を表明した。
■それでも無くならない出力トラブル
アドビ社がAcrobat6.0をリリースしたときにPDF/X用のジョブオプションとプリフライトプロファイルをバンドル出荷し、RIPメーカー各社からはPDF/Xに対応したRIPが出揃い、この2つを導入することによって、出力トラブルから開放されるはずであった。しかし、現実には出力トラブルは少なくなったものの、無くなってはいない。この理由として、以下の2点が考えられる。
- PDF/X-1aが「確実に出力できるデータ」を目指したものではなく、「最低限押さえるべきところを押さえ、幅広い印刷仕様に対応したデータ」を目指したものであった
- 出稿ワークフローの変化により、「制作サイド」と「製版・印刷サイド」に新たなる課題が生まれ、それぞれの役割分担が変化した。
■これからの制作サイドに求められるスキルとは
「制作サイド」と「製版・印刷サイド」の役割が変化すれば、求められるスキルや知識も当然のように変化する。
このパネルディスカッションでは、制作現場で今何が必要なのかを焦点に、PDF/X印刷ワークフローを推進する『PDF Conference実行委員会』、印刷・プリプレス業界をけん引する『RIPベンダー』、そして、制作現場でこれらの問題に直面している『マニュアル制作会社』の3者が、それぞれの立場で何に取り組み、どのようなスキルや知識を必要とし、相互にどのような協力が必要であるかを討論する。
なお、このパネルディスカッションでは、事前アンケートでPDF/Xに関する取り組みや意見を収集し、現場の声を討論に反映させる予定である。また、討論内容に関して、社団法人日本印刷技術協会にご協力をいただいて印刷業界側の観点からの確認を事前に行うことにより、印刷現場との整合性を確保する予定である。 |