TC協会ニュースWeb版 第64号
マニュアルにもイノベーションを
ローカリゼーションも大きく取り上げられる
〜TCシンポジウム2004 開幕
テクニカルコミュニケーションシンポジウム2004は、およそ1040人の参加者を集め、9月2日、3日に東京・新宿の工学院大学で開催された。「使うために作る、作るために創る」をメインテーマに、「凝縮と選択の知恵」をサブテーマに掲げた今年のシンポジウムでは、説明情報をどう取りまとめてどう見せるか、といったマニュアル制作の根本に関わる問題が改めて議論された。また、LISA
(Localization Industry Standards Association)のアール・リチャード・ロメル氏らを招聘してローカリゼーションの特別セッションを組むなど、16年のシンポジウムの歴史の中ではじめてローカリゼーションの話題が大きく取り上げられた。
多くの参加者で賑わう展示会場
●開幕
TC協会には注目しています、と経済産業省の杉浦氏
シンポジウムの冒頭を飾って、稲垣長利TC協会副会長、酒井康TCシンポジウム2004実行委員長(富士通ラーニングメディア)、そして経済産業省商務情報政策部文化情報関連産業課(通称メディアコンテンツ課)課長補佐の杉浦氏があいさつを行った。杉浦氏は、「IT立国を目指してさまざまな施策を講じている経済産業省にあって、メディアコンテンツ課はコンテンツ業界の支援を行っています。TC協会のさまざまな活動についてはつねに注目しています。さまざまなコンテンツの基盤となるテクニカルコミュニケーションを推進するTC協会には、ぜひわたしどもの施策を(逆に)支援していただきたい。業界横断的な話になりますが、今後は業界の人材育成とコンテンツの海外進出を推進していきます」と語った。
●モノとマニュアルのギャップを見据える
パネルディスカッション「使うために創るマニュアル」より
初日のパネルディスカッション「使うために創るマニュアル」では、シンポジウムのテーマを正面からとらえた。紙マニュアルの改善が遅々として進まない原因を、モノのロジックとマニュアルのロジックの乖離に求め、説明技術にもイノベーションが必要との認識を新たにした。
●ローカリゼーションの基本と課題
ローカリゼーションについて解説するロメル氏
初日の特別セッション「LISA Tutorial - Understaning Localization - The basics!
〜ローカリゼーションの基本〜」では、LISAのアール・リチャード・ロメル氏がローカリゼーションを技術とビジネスの両面から解説するとともに、ローカリゼーションを成功させるために考慮すべき問題点も指摘した。(このセッションは英語で行われたが、参加者には日本語の資料も配布された。)ロメル氏の話のポイントをいくつかまとめると・・・
- 混同しやすい3つの用語
ローカリゼーションとは製品やサービスを市場に適合させること。インターナショナライゼーションとは製品開発段階からローカリゼーションへの布石を打っておくこと。そしてグローバリゼーションとは製品を世界市場に進出させるビジネスプロセス全体のこと。
ローカリゼーションは、グローバリゼーションというプロセスの一部ととらえるべきで、単に製品やサービスを改変すれば済む類のものではない。
- ビジネス面からみたローカリゼーション
ローカリゼーションは、国外の需要に応じるためのもの。だから、ローカリゼーションは国際的なアウトソーシングビジネスであり続ける。
- 翻訳メモリ
翻訳メモリはローカリゼーションの基本ツール。まるでコンピュータが翻訳しているような印象を与えるがそうではない。あくまでも高度なテキストデータベースであり、正しい翻訳文の再利用を支援しているにすぎない。翻訳メモリは、大部の技術文書やユーザーインターフェースの翻訳に非常に有効である。
- 発生する諸問題のルーツは
ローカリゼーションで起こる問題の多くは、プログラミングやライティングといった関連業務に起因する。したがって、テクニカルコミュニケーターはローカリゼーションへの理解を深め、インターナショナライゼーションを意識すべきである。インターナショナライゼーションの段階で問題を抱えたままローカリゼーションに進むと、問題は対応言語の数だけ倍加されるからである。
*
ローカリゼーションの話題は、2日目のパネルディスカッション「世界と日本のローカリゼーションの現状とこれから」でも取り上げられた。このディスカッションでは、各企業でローカリゼーションに取り組むパネリストが日本でのローカリゼーションの現状を浮き彫りにし、日本企業の多言語展開の今後に向けての提言を行った。
●朝日新聞社も取材に
TCシンポジウム2004初日の会場に、朝日新聞社が取材に訪れた。取材相手はLISAのロメル氏。来日するいろいろな人物を取り上げる、朝日新聞土曜日版(9月18日付け)の「Visitors」のコラムで、「テクニカルコミュニケーションシンポジウムにおいて、ビジネスを海外展開する際の現地化のノウハウを講演した」、と紹介された。
(取材・構成 小谷 洋一)

日本マニュアルコンテスト結果発表〜シンポジウム会場で
今年も、日本マニュアルコンテストの発表と授賞式がシンポジウム会場の工学院大学1階アトリウムで開催された。式の最後に、本年度のマニュアル・オブ・ザ・イヤーの発表があり、松下電器産業株式会社のIHクッキングヒーター取扱説明書「かんたんIHブック」が受賞の栄誉を勝ち取った。同社、松下HA社クッキングシステム事業部技術グループの山田とし子さんが受賞のあいさつをされた。
受賞の喜びを語る山田とし子さん
このマニュアルを作るにあたって、協力いただいた方、また猛反発された方、すべてのみなさまにお礼を申し上げます。
私はマニュアル制作に携わって20年を越えるのですが、その間ずっとマニュアルの改善・改革に取り組んできました。いま、電子マニュアルなど説明技術が急速の進歩を遂げる中、紙のマニュアルも頑張っているぞ、ということを示したかったし、こうして賞をいだけたことで紙マニュアル制作に携わるみなさまへの励みになればうれしく思います。
この仕事を通じて、お客様にほんとうに役立つものは何なのかということを改めて実感しました。いままでは、メーカーからの押し付け色の濃いマニュアルが多く、それでもよくやったと自己満足気味のところがあったのですが、今回は徹底的にお客様の声を聞くことから始め、「こうしたい」という自分の考えを貫くためにいろいろな抵抗や反対とも戦ってきました。こうして思いを実現する努力をしたことがいま実ったのだと思います。
今後も、こうしたい、という情熱を失わず、お客様に役立つマニュアル作りに、この仕事に関わるみなさまと共に努力を続けていきたいと考えています。ありがとうございました。
(取材・構成 小谷 洋一)

基調講演:行為と相即するデザイン
人が自覚せず行う行為の中にデザインをはめ込むこととは
Naoto Fukasawa Design代表 深澤直人氏
去年、赤、黒、白の錦鯉カラーの「折り畳めない」携帯電話をデザインして、プロダクトデザイン界の話題をかっさらった深澤直人氏である。そうとう押しの強い人だろうと思う反面、無印良品の換気扇型CDプレーヤーのデザインからは、コミカルなのどかな発想の人が思い浮かぶ。
わたし自身つい数日前にひっかかったばっかりだった。無印良品のショップでボーッとそのCDプレーヤーを見ていて、つい「これ、どうやって電源入れるんですかねえ」と言ってしまった。いっしょにいたふたりもつきあいのいい方々で、換気扇型の壁掛けCDプレーヤーを、下から見たり裏をのぞいたり、電源スイッチを探しはじめた。が、どこにもスイッチはない。ついに、陳列棚の奥にあった箱を開けて取説を見たときに「やられた」と思った。下に垂れる電源コードを引っ張るのだ。換気扇と同じように。
そもそも、電源コードを引っ張って電源を入れる製品なんてありえない。だから、そんなことはわからなくて当然である。なのに、「ひっかかった」と悔しがってしまうのは、その見事なユーザーインターフェースによるものだ。心を無にすれば見えたはずなのに………。
基調講演でも、このCDプレーヤーのスライドが映された。苦労したのは、この電源スイッチを引いたときの感触だそうだ。普通の部品では、簡単に「カチッ」と電源が入ってしまう。わざわざ、「カッ……チッ」という換気扇のスイッチらしい長いストロークを再現できる特殊な部品を探したそうだ。……また、悔しい気持ちがよみがえる。「やられた」と思って電源コードを引っぱったときの、「カッ……チッ」という音。あれを聞いたときに「なぜ、自分は気がつかなかったのか」とさらに強く己の無力を恥じたのではなかったか。
「ありそうでないもの」
こう言われるのがいちばんうれしいという。
秀逸なのは、バナナの皮を紙パックにしたような(柄が黒く痛んだところまで再現した)バナナジュース用の紙パックである。さらに、「悪のり」して作ったという、特殊な紙で柔毛まで再現したキウィジュースの紙パック。絹ごし豆腐のきめまで再現した豆乳の紙パック。(これら一連の作品は『HAPTIC五感の覚醒』(竹尾編、朝日新聞社、3,990円)にくわしく紹介されている)
奇をてらっているとしか思えないほど個性的だが、ピュアなハートだけが生み出せるストレートなアイディアのようでもある。
基調講演は、次々とスクリーンに映し出されるスライド(といってもパソコンでコントロールされているのだが)によってめまぐるしく進行していく。
深澤氏の作品だけではなく、日々の生活の中にある、インターフェース、プロダクトデザインについて考える糸口、つまり、深澤氏のアイディアの源泉であろう事象の数々が紹介された。
たとえば、電車の窓。それを誰も鏡だとは思っていないが、電車が地下に入った途端、乗客はそれを鏡代わりに覗き込んだりする。たとえば、タバコがもみ消された跡が残る階段の手すりの点字表示。モラルから考えれば言語道断だが、たしかにタバコの火を消しやすそうである。駅前に止められた自転車のカゴに入れられた紙くずや空き缶。携帯電話でメールを打つために駅の盲人用タイルの上を歩く人。環境の中で人に勝手に価値を見いだされ、意図と違う役割を持たされてしまった物の例である。
「情報は環境に溶けている」もので、「ものを意識すると操作を間違える」
「幅10センチの直線の上を歩くのはいとも簡単なのに、その線が地上1メートルにあったらそれができなくなる。それは意識のせいですよね」
マニュアルの存在をアピールすることばかり考えている私たちには、耳が痛い言葉である。いや、マニュアルの中身の作り方もそうだ。目立たせたい情報があっても、文字を大きくするか、マークをつけることしか思いつかない発想の貧しさ。
「身体に聞け。頭に聞くと考えなきゃいけなくなる」ということだそうだ。
興味を持たれた方は、玩具メーカータカラ、ダイヤモンド社との共同プロジェクト「±0(プラスマイナスゼロ)」の家電群のデザインもぜひチェックしてほしい。常識をくすぐって存在を問い直す現代美術(モダンアート)の方法論で、機能とインターフェースの両立に悩むプロダクトデザインの問題を見事に解決している。
(文:平湯あつし)

ISO規格「PDF/X」導入のメリット
PDF Conference実行委員長 白旗 保則
前号の黒田聡さんに続き、今回はPDF Conference実行委員長の白旗保則さんにPDF/Xのメリットについて解説していただきます。
●印刷データの世界標準「PDF/X」
TCシンポジウムで「PDF/X」が紹介されたのが2003年。印刷を目的としたPDFのガイドラインとしてISO規格であるPDF/Xが大きな注目を集めはじめています。
今まで印刷データの入稿は、作成したアプリケーションソフトのデータをそのまま印刷側に入稿していました。このため、制作側では印刷側と同じ環境を構築する必要がありました。しかし、制作側でWindows
DTP への移行が進んでいるマニュアルの分野では、印刷側と異なる環境で作業できる印刷ワークフローが求められています。印刷側に依存しないDTP環境の構築と難解な印刷知識の習得という2つの課題を解決する印刷用入稿データとして「PDF/X」への期待が高まっています。
●いままで起きていた印刷上でのトラブル
今まで入稿していたアプリケーションデータの代わりに、PDFデータを印刷会社に入稿することは以前から行なわれていました。しかし、PDF印刷ワークフローの難解さにより、出力時のトラブルが発生するケースがあり、実質PDFデータでの入稿は主たる手段にはなっていませんでした。つまり、「誰でも生成できるPDF=印刷知識がないまま生成されてしまう正しくない印刷用PDFデータ」となっているケースがほとんどでした。
GATF(Graphic Arts Technology Foundation)が2001年1月に行なった調査によると、PDF入稿で起こるエラーとしては、
- フォントが埋め込まれていない
- カラースペースの誤り
- イメージの欠落
- オーバープリント/トラッピングの処理
の4つがあると報告されています。
つまり、正しい印刷知識を持っていれば回避できるこれらの事項が、印刷用PDFデータを生成する側で認識されていなかったということになります。
●トラブル回避のための標準化
「PDF/X」は、このようなトラブルを回避するために印刷を目的としたPDFのガイドラインとして規格化されました。「PDF/X」の中でもっとも採用が進んでいるPDF/X-1aでは、PDF生成の条件として
- PDFのバージョンをPDF1.3とする
- 使用できる色のカラーモードはCMYKにする、また特色は使用可
- 画像は必ず実画像を貼り込む
- フォント情報は必ず埋め込む
- ICCプロファイルを指定する
- トラッピングの有無を明示する
などの項目が挙げられています。
いままで難解と思われていた印刷ワークフローそのものに対して、いくつかの基準が示されたことにより、今まで正しい印刷知識を持ち得なかった制作側でも、この基準をクリアすることにより印刷できるPDFを生成できるわけです。
●発注側にメリットが大きい「PDF/X」
「PDF/X」による印刷ワークフローのメリットとしては、
- 責任範疇が明確になる
- 一方通行のワークフローを構築できる
- Acrobat、PDFのバージョンが限定できる
- コミュニケーションが簡素化される
の4つが挙げられます。
この中で一番重要な点が、責任範疇が明確になることです。「PDF/X」による印刷ワークフローを採用するということは、制作側が入稿するPDFを印刷用データとして正確に作らなくてはなりません。つまり、一定の印刷知識を習得し印刷に適したPDFを作る必要があります。このためには、前述した「PDF/X」で定められている基準を遵守してPDFを生成し、Acrobat6.0を利用して検証します。この点は、制作側にある程度の負担を強いることになりますが、これにより印刷側の環境に左右されないDTP環境を制作側が構築できます。
また、それだけにとどまらず、今まで印刷側主導で行なわれてきた印刷ワークフローそのものを制作側主導に変えることができるのです。つまり、制作側が印刷できるPDFを生成すれば、印刷側は単に印刷するだけになるわけです。これにより、印刷側と何度も校正をやりとりしたり、印刷側の都合で制作スケジュールを変更するなど、今までの印刷側とのやりとりはなくなり、一方通行のシンプルなワークフローを構築できるのです。印刷側とのコミュニケーションも簡素化され、制作側で内容の充実や編集に確保する時間が今まで以上に確保できることになります。
●「PDF/X」は印刷品質を保証するものではない
「PDF/X」は、印刷を目的としたガイドラインですが、印刷の品質そのものを保証するものではありません。
例えば、「PDF/X」では画像に関しては実画像と規定されていますが、これは画像の解像度に関して制限しているわけではありません。一般に印刷に適した解像度は300〜350dpiといわれていますが、それ以下の解像度であっても「PDF/X」としては問題とはされません。あまり低い解像度の画像では印刷品質上問題になる場合がありますので、「PDF/X」では規定されていない画像解像度などの事項に対しても一定のガイドラインを作成して運用する必要があります。印刷側ではこれに対応するノウハウが今まで同様に必要です。
「PDF/X」の採用は、制作主導にワークフローを変えると前述しましたが、これは印刷側と対立することではありません。今まで以上に良きパートナーとして印刷側との関係を見直し、より効率的なワークフローを築くことが大切になるのではないでしょうか。

2004年度テクニカルコミュニケーション技術検定試験の概要
2004年度のTC技術検定試験の実施要綱が決まりましたので、お知らせします。今回から「得点通知サービス」を新設します。また、消費税法改定に伴い受験料は消費税を加算した表示になります。受験料が変更になっていますので、申し込み時には間違いのないようにしてください。
(以下、会員とは、TC協会の法人会員の場合、団体での申し込みに限る。個人会員の場合、本人に限る。)
●得点通知サービス
2004年度(2005年2月)実施から、受験者全員に得点を通知するサービスを新設します。学科問題と実技問題それぞれを100点満点に換算して、合否通知に得点を記載します。ホームページに掲載される統計情報を参照して各自の実力を確認したり、その後の業務や受験計画に役立てることができます。なお、2004年2月に実施された試験以前の受験者への得点通知は行ないません。また、得点の通知は合否通知への記載だけで、個別の問い合せには対応できません。
●実施概要
- 試験年月日2005年2月13日(日)
- 試験会場東京、大阪(予定)
※20名以上の団体申込の場合は、団体の用意する会場で受験することができる(団体受験)。
- 受験資格TC協会の会員、非会員を問わない。
- ディレクション試験、ライティング初級:制限なし
- ライティング上級:初級試験、または従来の3級試験の合格者
- 受験料(すべて消費税込み)
- ディレクション試験:\21,000(会員\13,650)
- 上級試験:\17,850(会員\11,550)
- 初級試験:\14,700(会員\9,450)
- 申込期間2004年11月1日〜11月30日
- 合格発表2005年3月下旬を予定
●試験問題の形式と時間
- ライティング初級:学科(50問60分)、実技(60分)
- ライティング上級:学科(50問60分)、実技(90分)
- ディレクション試験:学科(50問60分)、実技(90分)
●受験のための手引き
- 技術検定ガイドブック
- 「テクニカルライティング分野ガイドブック」\3,800(送料込み)
- 「マニュアル制作ディレクション分野ガイドブック」\4,200(送料込み)
2005年1月以降に購入する場合は、消費税法改正に伴い消費税が別途加算される。
- TC技術検定セミナー
- ライティング上級
東京地区 12月3日(金)
大阪地区 12月11日(土)
- ライティング初級
東京地区 11月25日(木)、12月17日(金)予定
大阪地区 12月11日(土)
- ディレクション試験
東京地区 11月26日(金)、12月17日(金)予定
大阪地区 12月11日(土)
受講料:\10,000(会員\5,000)
※テキストとして、技術検定ガイドブックを使用。
●TC検定、ガイドブック、セミナーについてのお問い合わせ先
TC協会事務局
Tel:03-3368-4607
Fax:03-3368-5087
お問い合わせ先
ホームページ:http://www.jtca.org/
(TC技術検定実行委員長:高橋 尚子)
受験アドバイス
TC技術検定試験は、マニュアル業務の経験が試される試験ですが、業務経験だけで合格する試験ではありませんから、ガイドブックを何度も読んで、重点的に勉強することが大切です。
学科問題は、ガイドブックに記載されている内容が多く出題されるので、記載内容を覚えることが大切です。実技試験は、時間との戦いです。限られた時間内ですべて十分な解答を記入するのは難しいため、問題の意図を瞬時に正確に判断して、書けるところから始めるのがポイントでしょう。
私は、先にテクニカルライティング編を取得してから、ディレクション編を取得しました。ガイドブックの「はじめに」に記載されている、ウェイトとレベルをチェックして、ウェイトの高い箇所を何度も読み返しました。また、テクニカルライティング編上級は、初級に記載されていない箇所を重点的に学習しました。
ディレクション編は、経験していない業務も出題対象になっていたため、ガイドブックやTC協会主催の技術セミナーに参加し、そこで配布された資料を何度も確認し、学習しました。
弊社では、試験1ヶ月前に勉強会を開いています。勉強会を通じて意見交換をすることで、思い込みが消え、正しい知識が身に付きます。合格の秘訣は、ガイドブックにありです。これから受験される方はがんばってください。
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PFUアクティブラボ株式会社 ドキュメント開発部
応用マニュアル プロジェクト 中谷晃子

シリーズ:理事会社に聞く
株式会社 富士通ラーニングメディア
会社プロフィール
“最高水準の「知」のサービスを提供することによる、豊かで生きがいのある社会の実現”を経営理念として、企業の「人材育成ソリューション」、「ドキュメントソリューション」のほか、主婦やシニアなどの生涯学習をサポートする「オープンカレッジ」などのサービスを提供する。富士通の子会社として1977
年に設立、2003 年の売上げは124 億円を計上し、IT 人材育成企業としての確固たる実績を持つ。
テニスとゴルフが趣味という酒井さん。最近は、テニスの運動量に身体がついていかず、仲間から「動いているのは足ではなく、口ばかり」と言われている。そんなこともあり、適度な運動量と思われるゴルフに転向したが、最近ではカートでのプレーが多く、思惑がはずれてしまったという。
ドキュメントソリューション事業部長の酒井取締役にお話を伺いました。
●貴事業部の業務内容についてご説明ください
企業の知的財産であるドキュメントに関するビジネスを展開しています。「i-Document
ソリューション」をコンセプトに、お客様のドキュメントの評価・企画から執筆・翻訳、編集、印刷、及び運用管理を含めたライフサイクルの最適化を支援しています。具体的なサービス体系としては、第一にコンサルティングサービスがあります。ドキュメントの診断から企画、標準化、ドキュメント管理システム導入の提案を行います。第二は、システムコーディネーションサービスです。ドキュメントの編集、コンバート、管理運用など工程全般にわたるシステム構築のためのサービスを提供します。第三は、アウトソーシングサービスで、当事業部のメインビジネスです。お客様の代わりに高品質のドキュメント制作、つまり執筆、翻訳コンテンツ作成、電子化などを支援するサービスです。
●貴事業部のドキュメント制作体制は
担当成員は60名、社員が45名、派遣が15名ですが、ライティング担当はこのうち20数名です。Unix
やLinuxのサーバー、IAサーバー、メインフレームなど富士通製品のマニュアルの制作および翻訳を行っています。マニュアルの種類としては約150種、冊数では年間100冊位になります。この他に、OS
関連、ミドルウェア関連のマニュアルが年間で約30冊ありますが、これはソフトウェア開発者自らが制作しており、当社は翻訳が主体です。また、受注したシステム導入のための業務マニュアルの制作を受注しています。こちらも年間20〜30冊というところでしょうか。
●ドキュメント制作部門の課題についてお聞かせください
恒常的な課題ですが、一つは、生産性の向上です。このために、情報の再利用や制作プロセスの電子化などに取り組んでいます。具体的には、一連のマニュアルを電子化し、作業目的に応じた情報を抽出できるナビゲーションシステムの構築を進めています。二つ目は、ライターの不足です。当社のスペックにあった人材の確保はむずかしく、かつ受注には山谷があり、つねに余剰要員を抱えているわけにいかないので、アウトソーシングで対応しているのが現状です。
●つぎに協会に対するアドバイスをお願いします
人材育成の一環としてTC検定試験を活用していることや、シンポジウムで最新動向や技術に関する情報を収集できるなど、協会に加入しているメリットは決して小さくはありません。さらに協会のメリットを強く押し出すために、いくつかの要望があります。まず、協会としての社会への提言をさらにすすめ、協会活動の社会的認知をもっと高めていただきたい。次に、カタカナ用語や電子マニュアルマークの標準化などに取り組まれているが、こうした活動をより積極的に進めていただきたい。また、検定試験以外にもっと人材育成のためのプログラムを検討してほしい。最後に、欧米のマニュアル制作の実情や情報を提供してほしいと思っています。
日ごろ感じていることですが、どんな良い製品でもいつまでもその良さを維持できないと同様、現時点では最新のマニュアル制作技術や知識もいつまでも維持はできないと思います。将来を見据えると、ライターには、ライティング技術だけでなくエンジニアリング技術の習得が必要だと考えます。ライティング技術はもとより、ライティング環境の改善力が今以上に要求され、これを実現できる担当者こそ優秀なライターと評価されるようになるでしょう。こうした認識が現場のライターにはやや不足しているように見えます。
また、操作に関してフォローするしくみは、マニュアルだけでなく、カストマーセンターが充実してきており、ユーザーも見るより聞くほうが良くわかるし、楽であるという傾向が強くなってきていると思われます。こんな状況でわれわれの役割を考えると、わかり易いマニュアルを沢山作ることだけとは言い切れない気持ちになります。お客様のニーズを的確に捉え、それぞれの機能の特徴をより明確にした対応が必要となるのだと思います。
●最後に、今年のシンポジウムの実行委員長をお勤めいただきましたご感想を
関係者のご協力のお陰で、今年は昨年を上回る来場をいただくことができ、実行委員としては、まずほっとしています。数年前に、当社が幹事会社として運営を担当させていただいた時と比較し、実行委員としての役割、ロードがずいぶんと軽減されてきていることを感じました。運営の実働軽減にともなう企画業務への転換や庶務的業務のアウトソーシングなどの工夫の賜物と思います。ひとえに、シンポジウムの専門委員の皆様の運営体制の改善によるものと感謝しています。また、発表も内容も年々工夫され、多岐に渡ってきており、幅広い層に対して参考になるものが多くなってきていると感じました。
(取材・構成:三堀 邦夫・小谷 洋一)

日経印刷株式会社
会社プロフィール
今年創業40 周年を迎える同社は、毎年着実に売上げを伸ばし、昨年は77 億円を計上、堅実な印刷会社として定評がある。2001
年にはISO9001、14001を取得、昨年からは「Scrap & Built」を実行して体制の見直しをはかり、事業基盤のますますの強化とさらなる柔軟性をめざしている。
ご自身の健康を考え、ウィスキーや日本酒からワインに切り替えられた林吉男社長。ワインを飲むようになってから、食事の好みまで変わったという。「私の場合、ワインにはイタリア料理がベストマッチ。最近、とうとう自宅にワインセラーまで設置してしまいました」、とワイン談義は尽きない。
27歳で会社を興し、堅実さばかりでなく柔軟さと積極性を併せ持つ経営方針で、一代で同社をここまで育てあげた林社長にお話をうかがいました。
●まず、貴社のマニュアル制作に関してお聞かせください
メーカーの生産拠点の海外への移転にともない、国内でのビジネスが減少しており、さらには印刷や制作コストがますます抑制されている趨勢の中で、当社のマニュアル制作ビジネスの環境は非常にきついのが現状です。確かに、メーカーにおける制作要員の抑制による業務のアウトソーシング化の波はあり、仕事量は増えていると思います。しかし、印刷方式のデジタル化が進み、マニュアルの制作は受注しても印刷はなくCD-ROMで納品、あるいは印刷はあっても海外などに持っていかれる事例が増えてきています。実際のところ、当社で印刷まで通して受注しているのは全体の20〜30%という状況です。製版にフイルムを使っていた時代では考えられなかった現象です。印刷をコアビジネスにおく当社としては、印刷に結びつかないビジネスには問題があります。そのため、マニュアル制作要員の増員や、大幅な体制強化にはジレンマがあるのが正直なところです。私としては、当面、マニュアル制作と印刷はますます分離し、専門化していくと見ています。とはいえ、手をこまねいていてはビジネスチャンスを失うことになりますので、状況をみながら制作体制のテコ入れをしていくつもりです。また、当社はマニュアルや書籍に特化した印刷設備と製本までの工程を社内に保有しており、その意味でも一貫して任せていただければ、より大きなメリットを持っていただけると思います。
●そんな中で、貴社の制作体制の現状は?
当社のマニュアル制作課の成員は、ライターはクライアントへの派遣を含め22名、コーディネーターが6名、ディレクターが3名といった陣容です。制作量は年間2〜3万ページで、そのうちサービスマニュアルが70%を占めているのが特徴です。そのため、専門的な製品知識が不可欠で、人材の確保が大変です。
●次に協会に対する感想や要望などをお聞かせください
まず、協会の会員会社の業種に偏りがある、と常日頃思っています。協会設立時の事情があるとは思いますが、今後の協会発展にとっての課題ですね。また、「テクニカルコミュニケーション」ということばにも一般の認識がまだまだ低いと感じます。そのため、ライターの確保にも支障があります。そこで、協会へのお願いですが、協会会員、たとえば、検定試験の合格者やフリーランスの方々と会社との人的交流のパイプ、ネットワーク作りをしていただけないでしょうか。たとえば、仕事を必要とするライターとそうした人材を必要とする会社があらかじめ協会で用意したサイトに登録、ニーズに応じて交流ができる、といった仕組みです。協会としては、このような活動には、方針や性格上でのいろいろ制約があるでしょうが、ニーズが高まっていると思いますので、ぜひ検討してほしいものです。当社が所属している「グラフィックサービス工業会」では、フリーのデザイナーとの仕事での接点が図れる「パンダネット」という仕組みが完備しており、非常に効果的です。
●協会の会員となっているメリットはいかがでしょうか
協会会員であることのメリットには、人材育成や情報の収集だけではなく、率直に申し上げて、ビジネスにつながることも期待しています。現時点では、その点でのメリットがやや少ない気がしています。一方、社内で組版の技術が向上したのは、協会に参加し、マニュアル制作に携わった効果だと思っています。これは明らかなメリットですね。
●最後にプライベートな話になりますが、大変ご趣味が多彩だそうですね
長いことやっているのは、ゴルフですかね。現在、ハンディキャップが3です。毎週プレーしており、所属クラブの月例や競技会にも参加しており、平均スコアは80前後をキープしています。若いころは、よく飲み、相当無茶もし、入院までしたこともありますが、最近は控えており、外で飲むことが少なくなりました。その理由は、友人に感化され、ワインにこり始めているからです。自宅に百数十本入るワインセラーを買い込み、ワインの卸し店からいろいろな種類のワインを届けてもらったり、海外出張の折にはワイナリーを見学したり、いろいろ飲み比べて、味を勉強中です。現時点では、赤ワインの濃厚なぶどうのものが好みです。料理もワインにあわせるなど、楽しくて仕方ないといったところです。
(取材・構成:三堀 邦夫・小谷 洋一)

TC-INFORMATION
会員企業ひとことメッセージ
■マツダエース株式会社
●会社概要
1964年創立の、警備/運輸/保険/不動産などを扱う総合サービス企業。
●マニュアル制作について
情報技術サービス事業部が、マツダ車を中心としたサービスマニュアルを作成しています。近年は、3D・CGなどのデジタルコンテンツを活用した電子サービスマニュアル、e-ラーニング教材の提案・開発に積極的に取り組んでいます。この活動を通して商品競合力の強化及びCS向上を図り、お客様の信頼と満足を得る企業をめざしています。
●協会にひとこと
TC技術力向上のため、協会に入会しました。TC技術検定においては、当社が中国地方の特設会場(広島会場)になっています。TC協会には、マニュアル制作業界の社会的認知度向上のため、法人化とTC技術検定の国家資格化を期待します。また、マニュアル制作業界のリード役として、TC技術を更に向上させるための研究・展開をお願いします。
■株式会社パンウォシュレット
●会社概要
2001年10月、東陶機器(株)、小糸工業(株)、愛知電機(株)の3社のウォシュレット事業部門を分割し、あらたにウォシュレットの開発・製造を行う新会社として設立された。
●協会にひとこと
自社の取扱説明書がどれくらいのレベルなのか、マニュアルコンテストで評価してもらうために入会しました。各種セミナーを受講したり、マニュアルコンテストに参加したりしています。マニュアル制作の技術や情報などを、協会ホームページなどをとおしてより多く提供していただきたいと思います。
■日置電機株式会社
●会社概要
1935年創業。プリント配線基板関係の自動試験装置、波形記録計、クランプ電力計、LCRメータなどの電気計測器を開発、生産、販売している。
●マニュアル制作について
開発支援課が、製品のデザイン、プリント基板設計、取扱説明書制作、特許支援、開発支援システムの管理などを担っており、製品に付属するすべての取扱説明書を、4名(内、女性3名)で制作しています。ユーザの声を取扱説明書に反映できるように、社内編集、社内オンデマンド印刷を実行しています。
●協会にひとこと
TC技術検定受験、マニュアルコンテストへの参加、TCシンポジウムへの参加により、取扱説明書制作チームのスキルアップを目的に入会しました。今後ますますテクニカルコミュニケーションの重要性が増すと思いますので、協会には、海外動向を含めた最近情報の発信と会員の交流の場を増やすことを期待します。

関連団体からのお知らせ
■テクニカルコミュニケーション研究会(TC研)からのお知らせ
TC研は、TCの普及、テクニカルライターの技術や社会的認知、地位の向上を目指す、所属、職種を超えた個人参加の研究会です。意見交換や疑問解決などの活動を、メーリングリスト中心に行っています。
年会費5,000円のみ、入会金なし。
どんな会か知りたい方のために1か月の無料お試し入会制度あり。ご希望の方はこちらへメールをください。
●問い合わせ先(連絡はメールかファクシミリでお願いします)
107-0052 東京都港区赤坂 8-7-18
(株)シー・ディー・エス気付 TC研究会事務局
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TC協会ニュース 第64号 2004年10月29日発行
*次号は2004年12月24日発行の予定です。
*会員連絡先が変更になった場合は、TC協会事務局(こちら)までご連絡ください。

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