TC協会ニュースWeb版 第58号

TCシンポジウム2003直前情報
今年のテーマは「情報をデザインする」
〜人とモノとの快適コミュニケーション

プログラム実行委員長:濱口 晴雄

TCシンポジウムも今年で15年目に入りました。今年は8月28日(木)、29日(金)の2日間で、会場は毎年行われている工学院大学です。今年も昨年の内容に劣らず分科会、事例・研究発表、特別セミナーと豊富なメニューを揃えています。
 15年もTCシンポジウムを開催していると、内容も変わりばえのないものになりがちです。ところが、毎年新しく新鮮な分科会の内容と、各社からの最新の事例・研究発表が出てきます。だからこそ、15年も長続きしているのかもしれません。そして、企画・運営する側のTCシンポジウム実行委員の努力も忘れてはならないと考えています。

■基調講演は「ユビキタス時代のメタ情報デザイン」
TCシンポジウムを企画するときに、いつも頭を悩ますのは、シンポジウムのテーマと基調講演の人選です。今回も何をキーワードにするかでしたが、なぜか早い段階でキーワードが決まりました。それは「情報」です。情報が氾濫する中、なかなか整理・加工ができない情報をどう料理するか。これがもとになって「情報をデザインする」のテーマが生まれてきました。ただし、内容が抽象的すぎる点からも、実行委員会内部では、何を言っているのかわからない、という意見もありました。
今回の基調講演者は、竹村真一氏に決まりました。人選も早い段階で3〜4名の候補があがり、最終的には竹村氏に決まりました。基調講演者としてお願いに伺ったときの印象は、もの静かな人でしたが、竹村氏と話している中で、ご本人の頭の中でいろいろなキーワードが次々と出てくることに驚かされました。
 講演テーマは、「ユビキタス時代のメタ情報デザイン」。ちょっと難しい印象を受けますが、内容は情報に関することがらです。情報デザインの問題をマニュアルの出来不出来以前の問題ととらえ、モノ(商品)と情報(マニュアル)が分離していることをとらえています。氏自身のさまざまな実験プロジェクトの事例を紹介しながら進めていく予定です。かなり面白いテーマになると思っています。期待してください。

■分科会が面白い!
もうすでに皆さまのところにプログラムが届いていると思います。今回は1分科会に1ページを記載しました。これは、もう少し内容がわかるように参加者へ伝えるためです。
今回、8つの分科会では、将来のことよりもっと身近な問題を取り上げました。というのは、今現在、マニュアルを管理・制作している人たちにとって、現実的な問題を提供することで何かを考え、自ら持っている問題点などからヒントを得られるのではないかと考えたからです。
今回の分科会では、いままでにない新しい試みもあります。分科会06です。テーマに出てくる「人とモノとの快適コミュニケーション」にそって、「デジタルとアナログの快適コミュニケーション」として、時間内を2つに分けています。1部は「伝えるために何が必要か〜アナログ技術者の提言」、2部は「デジタル製品の説明書とは〜ユーザからの提言」です。デジタル化された現在、1部では人間の特質であるアナログを徹底追求したエンジニアの体験からテクニカルコミュニケーターの使命を考えることなっています。
さらに現在、ようやく電子マニュアルが出始めています。その意味でも、電子マニュアルの評価指標の動向や取り組みを考えてみます。電子マニュアルになるとアクセスビリティの問題が出てきます。この辺をどう考えるか。まずは段階を踏んで必要な部分を検討していくことが、この分科会のテーマになります。今後はPDFではなくHTMLが主流になってくるとの問題点に焦点に合わせた課題も出てきます。
 また、現在は10年前と違って、ディレクターの問題点が表面化してきました。各社が制作部分をアウトソーシングする傾向が大きくなっているからです。今までのようにライターやエディターを経験してからでなく、いきなりディレクターから入ってくる傾向が多くなっています。この問題を、経験豊富なパネリストが現実の問題と今後はどうなるかについて議論を展開します。
各企業でグローバル化が進んできた現在、マニュアルの制作プロセス上の問題も考えていきたいと思います。前回のシンポジウムでは中国に焦点を合わせましたが、今回はヨーロッパに焦点を置きます。
また、一時PL問題に各社が慌てていました。ところが、日本よりPL問題を重視していた米国が記載内容の見直しをしたり、内容を少なくしています。日本は米国に合わせてPL問題をとらえていましたが、ここでもう一度、考える時期にきています。ユーザーにとってみれば、マニュアルを開いたら、PL表記ばかりが目に入ってくると、本来の操作手順を見に行く気がなくなります。そろそろ日本のマニュアルもその辺を検討するときになっていると思います。
その他、皆さまの関心を持った分科会を用意していますので、ぜひ、プログラムを見て検討してください。

■事例・研究発表にも期待
今年は昨年並み(23件)の応募がありました。今年は昨年と違ってテーマ内容がバラエティ豊かです。昨年は、あるテーマに人数が多く集まり、教室に入りきれない状態でした。今年はその辺を考えて教室の割り振りを考慮しています。
マニュアルに関わっている人たちは、制作だけでなく個人や複数であるテーマを決めて研究を行っています。その場のマニュアル制作だけでは、将来を見越した研究はできません。どの企業も、その辺を考えて先を見つづけており、新しい試みをしています。また事例では、いままでやってきた内容がどう見られているのかを検証することもできます。そして何よりも大きいのは、その成果を発表する立場の人たちです。普段は、一部の人たちだけに(社内)発表するだけのものを、他企業の人たちの前で発表することは、勇気のいることです。
発表する人たちには、ぜひプレゼンテーションをわかった上で発表をしていただけるものと思っています。

■特別セミナーについて
毎年、人気があり安定した人数を集めるのが特別セミナーです。今年も昨年と同じ6つのセミナーを揃えました。しかも内容は、毎年のアンケートでかならずトップになるライティングと編集・レイアウトもの。ライティングでは、「伝えるためのライティング入門」と「初級テクニカルライティング」の2本を揃えました。特に前者は、「要点を先に伝える」「相手が知りたい順にストーリーを作る」「相手がすぐわかることから始める」など7つの基本テクニックをリライト実習を主体に学んでもらいます。また、編集・レイアウトのセミナーは「マニュアルの良し悪しはレイアウトですべてが決まる」といったハッキリとしたタイトルで、いままでになく突っ込んだ内容になっています。
それに加えて、毎年用意しているツールものとして「印刷に適したPDFの見分け方と作り方AdobeAcrobat6.0と5.0」もあります。今回は、日本におけるPDFの普及に努めてきたPDF Conference実行委員会で蓄積してきたノウハウをもとに進めていきます。実際に現場で使用している人たちには見逃せない内容を提供します。
また、目新しいものとして、今後Webマニュアルが増えてくることを予想した「Webアクセシビリティ講座」を加えました。アクセシビリティを正しく理解するには、障害者や高年齢者のためだけでなく、ホームページをどう見やすく、わかりやすいものとするかについてお話しします。
特別セミナーに参加される方は、分科会や事例・研究発表と違って、別途料金をいただくため、参加していただく方々には手土産を持って帰っていただきます。その点については講師の皆さんも十分理解しており、内容の充実を図っていただいています。

■最後に
このようなイベントを毎年開催できるのは、参加していただく皆さんのおかげです。いくら良い企画を立てても、参加者である皆さんが入らないとまったく意味がありません。TCシンポジウムは、毎年8月末から9月初旬に行われますが、裏方の実行委員は10月から来年の準備を始めます。それも参加していただく皆さんの声やアンケートの内容に励まされているからです。すでに皆さんのところにプログラムが届いていると思います。ぜひ、他の人にも声をかけていただき、今年のキーワードである「情報」を持ち帰ってください。

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2003年度TC技術検定試験について

2004年に実施予定の「テクニカルコミュニケーション技術検定試験」は、分野と等級の見直しを行い、次の枠組みで実施します。

  • マニュアル制作ディレクション分野
    マニュアル制作のライティング以外の企画や制作を中心とする実務を対象とする検定試験です。マニュアル制作をはじめとするTC実務領域において、企画や制作技術、プロジェクト管理・評価などを中心とする業務が支障なく遂行できるスキルレベルを認定するものです。等級やグレードはありません。
  • テクニカルライティング分野(初級・上級)
    マニュアル制作のライティング分野を中心とする実務を対象として、2つのグレードの試験を実施します。

■テクニカルライティング初級
上司の指示や決められたルールの中でライティングができる程度のスキルレベルを認定するものです。従来のテクニカルライティング分野3級試験と比較すると、全体に占めるライティング技能を問う問題の比率が増え、それ以外の企画・構成やビジュアル表現などの比重が下がります。

■テクニカルライティング上級
一人前のライターとして、ひとりでマニュアル制作のライティング業務を遂行できる程度のスキルレベルを認定するものです。従来のテクニカルライティング分野2級試験と比較すると、全体に占めるライティング技能を問う問題の比率が増え、それ以外の制作技術、付帯技術などの比重が下がります。

●検定の対象となる技術要素(共通)

  1. 企画・構成・表現設計
  2. ライティング技法
  3. ビジュアル表現
  4. 制作に関する技術
  5. 紙以外のメディアに関する技術
  6. 付帯する技術
  7. 評価・管理

●試験概要
詳細は、TCシンポジウム2日目に発表します。
※試験日:2004年2月22日(日)予定

※受験料(予定)

  • テクニカルライティング初級:\12,000(会員\8,000)消費税込み
  • テクニカルライティング上級:\15,000(会員\10、000)消費税込み
  • マニュアル制作ディレクション:\18,000(会員\12,000)消費税込み

    会員とは、TC協会の法人会員の場合、団体での申し込みに限る。個人会員の場合、本人に限る。

※試験会場:東京、大阪(予定)
 20名以上の団体申込の場合は、団体の用意する会場で受験することができる。

※試験科目と時間(予定)

  • テクニカルライティング初級:学科(60分)、実技(60分)
  • テクニカルライティング上級:学科(60分)、実技(90分)
  • マニュアル制作ディレクション:学科(60分)、実技(90分)

※受験資格

  • テクニカルライティング初級、マニュアル制作ディレクション…制限なし
  • テクニカルライティング上級…テクニカルライティング初級の合格者
    (または、従来のテクニカルライティング分野3級の合格者)

●検定ガイドブック改訂
各分野に対応するガイドブックを9月に発行予定。

  • 「テクニカルライティング分野 ガイドブック」\3,800(消費税込み)
  • 「マニュアル制作ディレクション分野 ガイドブック」\4,200(消費税込み)

●検定セミナー実施
各分野・等級に対応するセミナーを12月から実施予定。

(担当:高橋 尚子)

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理事会レポート

2003年度第2回の理事会が、6月6日(金)午後3時より、TC協会事務局で開催されました。

今回の理事会では、協会運営スタッフからの報告事項と理事会としての承認事項が議題になりました。報告事項の主な項目は以下のとおりでした。

  • TCシンポジウム2003準備進捗
  • 日本マニュアルコンテスト2003進捗状況
  • マニュアル制作実務セミナー報告
  • TC技術検定試験実施報告
  • 受託事業報告

TC技術検定試験に関して、検定セミナーを受講したかどうかと合格率に関連はあるか、との理事からの質問に対しては、「検定セミナーそのものと合格率に明確な相関関係は認められないが、むしろ日ごろTC協会とコンタクトの多い企業からの受験者の合格率が高い、という傾向がみられる」との回答がありました。解答つきで過去の問題集をつくり、勉強の環境を整えてはどうか、という指摘に対しては、「技術検定セミナーで、とくに正解率の悪かった問題を取り上げ、ガイドブックを参照しながら正解の解説をしている」との回答がありました。

報告事項に続いて、今回の理事会で取り上げられた承認事項は以下のとおりでした。

  • TC技術検定専門委員会、新委員
  • 2003年度TC技術検定試験について
  • 協会の法人化について

2003年度以降のTC技術検定試験は、従来の検定試験とは異なる点があるとして、技術検定専門委員長からの説明がありました。それによると、試験の分野と等級を見直すことは過去の理事会で承認を受けているが、その検討を進めた結果、「テクニカルライティング分野」を従来の2級、3級の区分から上級、初級の区分へと変更するとともに、新たに「マニュアル制作ディレクション分野」を設け、マニュアル制作におけるライティング以外の企画や制作を中心とする実務を担う人を対象とする、ということでした。
理事からは、ディレクション分野とライティング分野の各試験で問われる技術が明確に公開されるのか、という質問が出ました。それに対しては、「案内物で明確にするとともに、TCシンポジウム2003でも説明会を開く予定である」との回答がありました。また、マニュアル制作に限定されない、日本語表現力を客観的に評価できる仕組みが望まれている、という指摘に対して、運営側は「協会法人化後の事業として対応するつもりである」と答えました。

最後に、法人化について、運営側から「TC協会の活動や事業規模は一定の評価を得ているので、これからも法人格の種類や方法論について検討を進めていくとともに、体制作りの一環として、技術検定を含む各事業の整理を推進していく」との説明がありました。

(取材・まとめ 小谷 洋一)

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TC-INFORMATION

研究会からの連絡

■日本ビジュアルコミュニケーション協会(JAVC)
CG & ビジュアルマニュアル研究会のお知らせ

  • 日時:2003年9月13日(土)13時〜17時
  • 場所:国立オリンピック記念青少年総合センターC-305号室 地図
  • 参加費:1,000円(JAVC会員500円)
  • 「ビジュアルに見せるプロの技 & コツ」
    • 今回はCG研究会とビジュアルマニュアル研究会の合同開催
    • マニュアルの使うイラストの見せ方についてプロの技を披露
    • デイスカッション
    • 制作担当者は必見
  • 申込み締め切り:定員20名になり次第締め切り(お早めに)
  • 申込み:JAVCホームページから 、または電話(042-302-1407)、事務局へメールでお願いします。 
■テクニカルコミュニケーション研究会
テクニカルコミュニケーション研究会は、TCの普及、技術向上、社会的認知、地位向上を目指す、所属、職種を超えた個人中心の研究会です。メーリングリストを中心に活動しています。
年会費は5,000円、入会金はありません。
どんな会か見てみたい方は、1か月の無料お試し入会制度をどうぞ。ご希望の方はこちらへメールをください。
【連絡先】(連絡はお手数ですがメールかファクシミリでお願いします)
メール:こちら
ファクシミリ:03-5411-5961(シー・ディー・エス気付)
〒107-0052 東京都港区赤坂8-7-18
ハイトリオ赤坂8丁目 502号室
(株)シー・ディー・エス気付 TC研究会事務局

■テクニカルライターの会
●平成15年度「テクニカルライターの会」会員募集
 「テクニカルライターの会:TWの会」では、マニュアル制作に携わる方々の大きな使命である”製品とユーザーの橋渡し”をいかに実現するかについて、ともに考え、ともに議論する場を提供しております。
そのために、マニュアル制作に必要な技術やテクニカルコミュニケーションを取り巻く最新動向を会員の皆様へ提供するとともに、会員相互の交流を図ります。
また、マニュアルを取り巻く環境は、次のように急速に様変りしつつあります。

  • デジタル化や、カメラ付き携帯電話のような製品の複合化
  • 電子化などによるマニュアルを格納する媒体の変化
  • リストラ/コストダウン/短納期化/アウトソーシングなどによるマニュアル制作体制の変化
  • 高齢化や、環境/健康/資源リサイクルなどへの関心の高まりによるユーザーニーズの変化

このため、本会では、このような時代の変化に応えられるように会員の皆様にマニュアルつくりに必要な情報を提供してまいります。「企画・運営委員会」を中心に、会員の皆様からのニーズを吸い上げ、タイムリーな内容を企画しております。
皆様の積極的なご参加、ご協力をお願いいたします

テクニカルライターの会のホームページはこちら
(ご入会のお申し込みも、上記のホームページでできます。)

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