TC協会ニュースWeb版 第56号
イノベーションを迎えるための足固めを!
TC協会2003年度総会レポート
2003年度のTC協会総会が、2月25日(火)、東京芸術劇場(池袋)の会議室で開催されました。
報告と審議
総会は、TC協会海保会長ののあいさつで開幕しました。続いて、議長に選出された雨宮氏(運営委員会)が、出席者47名、委任状提出者126名で合計議決権数173となり、会員数421名の5分の1を満たしており、総会が成立する旨の報告をし、議事が始まりました。
■ 2002年度の事業報告(高橋氏−運営委員長)
2002年度は、「日常的サービスの実現と、成果の還元を目指して!」を事業方針として活動してきました。つまり、TC協会が提供できるサービスをいつでも会員が利用できるようにすること、および協会の活動に参加したメンバーにその活動成果を還元することに重点を置いてきました。
そのため、「人材育成事業」「調査研究事業」「評価事業」「発表、交流事業」「標準化事業」と区分けされる協会活動の重み付けを計り、各事業の整理を目標としました。しかし、実際はどの事業も協会にとってもメンバーにとっても重要であり、個別に重みを付けることは困難でした。
一方、活動成果の還元という点では、長年にわたり検定事業やマニコン事業などの活動に協力してくださったメンバーに、「公認メンバー」であることを証明する認定証を発行しました。これは概ね好評を得ました。
運営組織基盤の強化としての法人化の問題ですが、2001年に、社団法人への申請書類を経産省に提出しましたが、2002年8月、「公益性が乏しい」との理由で申請は白紙に戻りました。ただし、法人化の手続きが今年から改められ、必要に応じて「個別相談」により法人化を検討する、という方式になりました。経産省の担当では、TC協会の法人化について引き続き相談に応じていただけるとの見解なので、新制度の個別対応による法人化の努力を継続するつもりです。
個別の事業に関して概略を報告します。TC技術検定試験および技術セミナーについては、概ね順調に推移しています。しかし、全体の集客力の観点から考えると、まだ単独事業というには規模が小さいため、運営方法に工夫を重ね、個別の事業計画を強化する必要があり、同時に受講者だけでなく講師の開拓など運営側の人材育成も必要です。
シンポジウムについては、これも一応の成果をあげてはいるものの、そろそろ裏方の負担軽減を目的とした運営方式の見直しの必要も感じており「事業性」の観点からの工夫が必要です。マニュアルコンテストは、名前に負けない内容を維持することと参加者数を伸ばすことが必要です。審査基準となる「評価技術」をさらに拡充し、他の業種や職種からの参加者にも納得できるシステムを作り上げることが大切だと思います。
また、受託事業などの裏側に潜むGive & Takeの精神が崩れてきている中で、最大公約数のテーマを無難にこなすよりは、実務的に役立つテーマに絞り込んで、その実務関係者によって掘り下げて成果を出すことの循環が生まれるような工夫が必要です。
カタカナ表記の研究にも時間がかかりますが、一定の成果をあげるべく継続する方針です。そして、これらの活動の推移がメンバーの皆さんに適宜見えるようホームページなどの更新頻度をあげ、外部へのアピールの努力が重要な時期でもあると思います。
■ 2002年度の決算報告(黒田氏−財務担当運営委員)
2002年度は、収入が51,633,313円、支出が51,520,112円で、その収支差額が113,201円と、ほぼ収支トントンの結果でした。ボランティア体質を脱却するためシンポジウムの運営業務の外部委託を進めた結果、支出が増えています。今年は、2,180,000円を基本金に組み入れます。
*以上の、2002年度事業報告および決算報告は、会場の拍手をもって承認されました。
■2003年度事業計画(高橋氏−運営委員長)
2003年度の事業方針のスローガンとして、「イノベーションを迎えるための足固めを!」を掲げます。技術の変化、世の中の変化を追いかけていくためにも、きちんと足場を固めよう、という意味です。「説明技術」の確立を点検しよう、というのは、あらためてテクニカルコミュニケーション技術に関して積み残しのないよう深堀りしておこう、ということです。その上で、マニコンや実用セミナーを通じて、他業種への浸透と会員数の拡大を図ります。他業種への浸透ということを考えれば、マニコンの評価技術の確立やTC技術検定試験の強化も重要な糸口です。具体的には、従来のテクニカルライティング3級・2級という区分けを、テクニカルライター初級・上級とし、さらにディレクターという分野を新設します。
これらの計画は2003年単年度だけのものでなく、中・長期的な展望に基づいています。中期的にはTC技術が多くの業種に応用できるように体系化を拡充し、周辺技術との融合を図ります。また、長期的にはTC協会は新世代マニュアルに関する技術情報センター化を目指すとともに、ユーザーガイドに関する評価・認定団体として社会的貢献を果たすことを目指します。
■2003年度の予算(黒田氏−財務担当運営委員)
2003年度の予算は、協会が誕生して初めて、支出が収入を上回るものになります。主な理由は、シンポジウムのオペレーションの多くを外部に委託するよう方針を切り替えること、および技術検定試験の枠がひとつ増えることによる支出の増大です。技術検定の準備に対しては、技術検定準備金を取り崩すことで対応しますので試験準備に影響はありません。また、全体収支に関しても、今後の計画に大きな変更はありませんが、取り崩した準備金を再準備しておくために受験料などの値上げを含めて検討中ですが、会員割引などを導入して実質的にはメンバーには影響が出ないような配慮を検討しています。
*質疑応答を経て、2003年度の事業方針、予算案も、会場の拍手をもって承認されました。
TC協会賞
2002年度は、運営委員会の推薦に基づき、TC技術検定の実施に大きく貢献された横河グラフィックアーツの永山氏にテクニカルコミュニケーション技術賞を、やはり、TC技術検定の立ち上げに尽力されたアクシスの真次氏にテクニカルコミュニケーション特別賞が贈られることになりました。ただし、真次氏は残念ながら受賞を辞退されました。
閉会のあいさつ
閉会にあたって、経済産業省商務情報政策局文化情報関連産業課課長補佐の小林氏があいさつを行いました。小林氏からは、「経済産業省としても、産業全体における人材育成の重要性は認識しており、TC協会の人材育成には期待している」との感想をいただきました。
| TC協会2003年度予算 |
| 1. 収入の部 |
| 会費収入 |
13,900,000円 |
| 事業収入 |
37,300,000円 |
| その他収入 |
840,000円 |
| 当期収入合計 |
52,040,000円 |
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| 2. 支出の部 |
| 通信・交通費 |
6,730,000円 |
| 印刷費 |
9,500,000円 |
| 会議費 |
1,540,000円 |
| 会場費 |
7,260,000円 |
| 機材賃借料 |
720,000円 |
| 謝礼費 |
4,280,000円 |
| 事務局・ネット運営委託費 |
19,400,000円 |
| 報告書作成費 |
3,000,000円 |
| 広報費 |
3,500,000円 |
| 備品・消耗品費 |
1,060,000円 |
| その他経費 |
0円 |
| 当期支出合計 |
56,990,000円 |
|
|
| 3. 収支差額の部 |
| 当期収支差額 |
▲4,950,000円 |
| 技術検定準備金取崩額 |
4,950,000円 |
| 前期繰越収支差額 |
13,152,363円 |
| 次期繰越収支差額 |
13,152,363円 |
(取材・構成 小谷 洋一)
記念講演
テーマ お客様は「お客様」か −マニュアルことばに潜む無感情−
講師:宮本 喜一氏 (翻訳家)
総会に先立ち、翻訳家の宮本喜一氏を講師にお招きしての記念講演がありました。宮本氏のお話の概要は以下のとおりです。
■「お客様」と呼ばれて気持ちがいいか
顧客満足度という考えからも「お客様」ということばが定着したように思えるが、裏返して考えてみると、「お客様」ということばを使わせようとしている人たちの意識が見えてくる。つまり、経営者が従業員のことばの貧困さを補うため、従業員に「お客様」といわせているのだ。企業には「お客様相談室」と呼ばれる部署があるが、ここに電話をかける側(顧客)は、自分のことを「お客様」と称することになってしまう。これは、ことばの意味がゆがんでいる好例だ。牛丼屋さんに「お持ち帰り」コーナーとあるため、注文する側も「お持ち帰りで3つ」と言ってしまうのも同じ。
■「お客様」は幼稚園児か
「いじめ」という状況の中で仲間はずれになりたくない、というのにも似た意識と顧客満足度とがないまぜになると、ユーザーに対することば遣いがどんどんやわらかく、あいまいに、また、自信なげになってくる。そのいい例が、「健康のため吸いすぎに注意しましょう」という呼びかけかただ。「○○しましょう」とは、幼稚園の先生が園児に語りかけるときのいいかたであり、選挙権をもつおとなに向かっていういいかたではない。取扱説明書にも、ユーザーをこども扱いしている例が見られる。親しくいうことと、公式の場でわかりやすく伝えるということの区別がつかなくなっている、ということだ。一方で「お客様」といいつつ、もう一方で「○○してみよう」といっている。これはおかしい。親しみやすくしよう、と考える一方でていねいにしなければ、という意識が働き、こういったアンバランスが生じている。説明書を書いている人間が、読み手がどう解釈するかをよく考えていないのではないか。
■「最初から順番に最後まで」がわかりやすいか
新しいコンセプトを取り入れた製品であるにもかかわらず、そのコンセプトをきちんと伝えずに、ただ操作の手順だけが、最初から順番に最後まで、詳しく書かれた説明書がある。機能の何たるかを説明せずに、ただ「こうしなさい、次はこうしなさい」ということがシーケンシャルに書いてある。これで、ユーザーははたして製品に支払った代金分の機能を享受することができるだろうか。
■説明書はただの「部品」か
取扱説明書は製品の一部だ。説明書がわからなければ、客は電話をかけてくる。そのときにかかるコールセンターのコストは、マイクロソフト社の例でいうと、1コールにつき3,000円だといわれている。1本1万円のアプリケーションソフトで、ユーザーが1回電話をかければ、利益はすべてふっとぶどころかマイナスになる計算である。このことを、説明書をつくるときに考えるべきだし、もっと金をかけて制作すべきだ。
(文:小谷 洋一) |

2002年度TC技術検定、2級・3級実施される
2003年2月16日(日)、「2002年度テクニカルコミュニケーション技術検定(テクニカルライティング分野:2級/3級)」が、昨年と同様に実施された。東京(工学院大学)、大阪をはじめ、団体受験会場を含めて全国7府県8会場で行われた。
全国的に曇りまたは雨模様であったが、どの会場も事故やトラブルがなく実施された。
団体受験会場は昨年より1会場増え、受験申込者は昨年より4%ほど増加の約850名となった。ここのところ減少していた受験者数が増加に転じた。特に、3級の受験者数は、18%程度の増加で2年前を越える数となった。また、2級は反対に10%程度減少した。なお、受験率は、2級、3級とも90%前後で例年並みであった。
受験者の層をみると、協会外の受験者が2/3以上と過半数を越え、受験者の年齢層が広がっている。さらに、団体受験の会場が増えるなど、受験者は全国に広がっている。
合格発表は、3月下旬。受験者には申込書の住所宛てに、合否の通知が郵便で届けられる。また、東京会場、大阪会場については、TC協会のホームページでも合格者の受験番号を公開する予定。
なお、次回の「TC技術検定」からは、「テクニカルライティング分野」の等級の変更、「マニュアルディレクション分野(仮称)」の追加など枠組みを変更して実施される。詳細な試験内容、受験要綱などは、8月下旬に発表される。決まり次第TC協会ニュース、ホームページなどで通知する。また、「検定ガイドブック」も同時に改訂を行い、9月に発行する予定である。
(担当:高橋尚子)
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TC-INFORMATION
TC協会の活動
■理事会レポート
2003年度第4回の理事会が、2月7日(金)午後3時より、TC協会事務局で開催されました。
この理事会では、以下の事項について審議が行われました。
- 2002年度事業報告案
- 2002年度決算案
- 2003年度事業計画案
- 2003年度予算案
- 2003年度の役員推薦
- 2002年度の表彰
審議の結果、2002年度の事業報告、決算案、2003年度の事業計画、予算案とも、承認されました。
審議中、理事からは、「会員数を増やすために、たとえば協会が開催するセミナーの参加者の中にどのくらい非会員がいるか分析してみてはどうか」「TC技術は国民のための技術、という観点から、もっと協会活動の公益性について議論してはどうか」などの意見が出されました。

技術検定■次回「TC技術検定」について
次回からは、検定の枠組みを変更し実施されます。詳細な試験内容、受験要綱などは、8月下旬に発表されます。「検定ガイドブック」も同時に改訂を行い、9月に発行する予定です。しばらくお待ちください。
●TC技術検定についてのお問い合わせ先
今後の受験に関する情報は、随時ホームページにてお知らせします。
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